本文へスキップ
空き家ナビ

相続放棄しても、家の管理義務は残るのか|2023年の民法改正

最終更新 2026年9月27日

「相続放棄すれば関係なくなる」。そう聞いて手続きを考える人は多いのですが、条件によっては家の管理義務が残ります。2023年4月に施行された改正民法940条で、残るのはどういう場合か、いつ終わるのかがはっきりしました。

この記事の要点

  • 相続放棄の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内。
  • 2023年4月1日施行の改正民法940条では、放棄の時にその財産を現に占有している場合に保存義務を負う。
  • 保存義務の程度は、自己の財産におけるのと同一の注意。
  • 相続人または相続財産清算人に財産を引き渡した時点で、保存義務は終わる。
  • 相続人に受領拒絶や受領不能がある場合は、供託によって引渡義務を消滅させることができる。
  • 相続放棄は家庭裁判所に申述して行う。放棄すると預貯金などのプラスの財産も引き継げない。

2026年9月27日時点の制度です。改正されることがあるため、実際の手続きの前に一次情報をご確認ください。

その家の場合はどうなるか、先に見てみますか

無料ではじめる

1分ほど。選ぶだけで終わります。登録も、電話番号も要りません。

義務が残るのはどんな場合か

2023年4月1日施行の改正民法940条は、相続の放棄をした者が、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産法人に当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならないと定めています。

改正前は「管理」と書かれていて範囲がはっきりしませんでした。改正で「現に占有している」という条件と「保存」という内容、そして終わるタイミングが整理されました。

義務が終わるタイミング

保存義務は、相続人または相続財産清算人に財産を引き渡して占有を移転した時点で終わります。放棄の手続きが終わった時点ではありません。

引き取る人がいない場合は、次の順で考えることになります。

  • 他の相続人がいる場合:その相続人に引き渡す
  • 相続人が受け取らない、受け取れない場合:供託により引渡義務を消滅させる
  • 相続人が誰もいない場合:家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる

放棄すると、預貯金も受け取れない

相続放棄をすると、その相続に関して最初から相続人でなかったことになります。空き家だけを放棄して預貯金は受け取る、ということはできません。

家の維持費が重くて放棄を考えているなら、売却や解体にかかる費用と、放棄で受け取れなくなる財産を並べてみることです。空き家ナビのレポートでは、売る・貸す・住む・壊す・このまま持つの5つについて概算の収支を出します。

3か月の期限と、伸長の申立て

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。財産の調査が終わらないなど判断がつかない場合は、この期間の伸長を家庭裁判所に申し立てることができます。

3か月を過ぎると原則として放棄できなくなります。まず自分の期限を確認する。間に合わないと思った時点で、弁護士か司法書士に相談したほうが早く済みます。

よくある質問

相続放棄すれば、空き家の管理から解放されますか?

必ずしも解放されません。2023年4月1日施行の改正民法940条では、放棄の時にその財産を現に占有している場合、相続人または相続財産清算人に引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務を負います。まったく占有していなかった場合は、この義務を負いません。

「現に占有している」とはどういう状態ですか?

改正の趣旨は、実際にその財産を持っている人に限って義務を負わせることにあります。たとえば被相続人と同居していた家や、鍵を預かって出入りしていた家は占有に当たり得ます。遠方に住んでいて一度も立ち入っていない場合は当たらないと考えられますが、個別の判断になるため弁護士に確認してください。

管理義務はいつ終わりますか?

相続人または相続財産清算人に財産を引き渡して占有を移転した時点で終わります。引き取る相続人がおらず受領拒絶や受領不能がある場合は、供託によって引渡義務を消滅させることができます。誰も相続人がいない場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てることになります。

相続放棄の期限はいつまでですか?

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。家庭裁判所に申述します。期間内に判断がつかない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます。

出典

制度は改正されることがあります。実際の手続きの前に、必ず一次情報と有資格者にご確認ください。